【解説】 菊池寛が明治近代化の歴史を生き生きと描いた通史的物語で、その筆致は人物を存分に描いており、とても魅力的です。 内容はよく知られている事件、歴史をわかりやすく描いています。ところが、なぜか本書は、第二次大戦後に、占領軍GHQによって発禁図書となってしまいました。占領下、7千冊以上の戦前・戦中の書物が没収されたと言いますが、大衆小説家の菊池寛の著作が発禁とは驚く話です。 菊池は、「太平洋戦争中、文芸銃後運動を発案し、翼賛運動の一翼を担ったために、戦後は公職追放の憂き目にあい失意のうちに没した。」(ウィキペディア)とありますから、そういう菊池の著作だから、ということでしょうか。今から見れば、こういう著作が発禁処分とは大きな違和感を感じます。 菊池寛は、市販されている著作はごくわずかで、膨大な著作群があります。その中で歴史物語は、人物に着目して描いているために、実にわかりやすく、かつ魅力的です。「日本歴史物語全集」や「大衆維新史読本」などは日本の通史を生き生きと描いている素晴らしいシリーズですが、この「大衆明治史」もそれに連なるすぐれた歴史物語です。これらの著作群が市販されてい{
【解説】 菊池寛が明治近代化の歴史を生き生きと描いた通史的物語で、その筆致は人物を存分に描いており、とても魅力的です。 内容はよく知られている事件、歴史をわかりやすく描いています。ところが、なぜか本書は、第二次大戦後に、占領軍GHQによって発禁図書となってしまいました。占領下、7千冊以上の戦前・戦中の書物が没収されたと言いますが、大衆小説家の菊池寛の著作が発禁とは驚く話です。 菊池は、「太平洋戦争中、文芸銃後運動を発案し、翼賛運動の一翼を担ったために、戦後は公職追放の憂き目にあい失意のうちに没した。」(ウィキペディア)とありますから、そういう菊池の著作だから、ということでしょうか。今から見れば、こういう著作が発禁処分とは大きな違和感を感じます。 菊池寛は、市販されている著作はごくわずかで、膨大な著作群があります。その中で歴史物語は、人物に着目して描いているために、実にわかりやすく、かつ魅力的です。「日本歴史物語全集」や「大衆維新史読本」などは日本の通史を生き生きと描いている素晴らしいシリーズですが、この「大衆明治史」もそれに連なるすぐれた歴史物語です。これらの著作群が市販されてい{