明治から昭和にかけて活躍した小説家、歌人である岡本かの子の随筆。初出は「宗教公論」1935(昭和10)年]。のちに第六創作集「老妓抄」に収録。かの子が滞在していたベルリンにあった仏陀寺を舞台として、ドイツ人青年ベックリンとの邂逅や素朴なフロウナウの町に日本への郷愁を重ねて綴られている。仏陀寺を訪れたかの子は不器用に手を合わせる青年と出会う。彼は暗い時代の救いを仏教に求めているようであるが、彼との会話から、かの子は西洋人の解脱の困難を思う。最後は東洋の宗教には興味を持たない青年の恋人の現実的な言葉で文章は閉じられる。
明治から昭和にかけて活躍した小説家、歌人である岡本かの子の随筆。初出は「宗教公論」1935(昭和10)年]。のちに第六創作集「老妓抄」に収録。かの子が滞在していたベルリンにあった仏陀寺を舞台として、ドイツ人青年ベックリンとの邂逅や素朴なフロウナウの町に日本への郷愁を重ねて綴られている。仏陀寺を訪れたかの子は不器用に手を合わせる青年と出会う。彼は暗い時代の救いを仏教に求めているようであるが、彼との会話から、かの子は西洋人の解脱の困難を思う。最後は東洋の宗教には興味を持たない青年の恋人の現実的な言葉で文章は閉じられる。